1. モキュメンタリー映画とは？
モキュメンタリー映画（英語：Mockumentary）は、
ドキュメンタリー映画の手法を使いながら、実際にはフィクションである作品のことを指します。
「Mock（からかう、模倣する）」＋「Documentary（記録映画）」の造語で、
ニュース映像やインタビュー、手ブレカメラなどを駆使し、まるで本当にあった出来事を記録したかのように見せます。
2. モキュメンタリー映画の歴史
モキュメンタリーの起源は1960年代にさかのぼります。
当初はコメディジャンルで「架空の出来事を真面目に記録する」作品が多く作られ、
1980年代以降にはホラー映画の手法としても広まりました。
- 1964年：『A Hard Day’s Night』（ビートルズの架空日常をドキュメンタリー風に描写）
- 1984年：『スパイナル・タップ』で音楽業界のパロディ作品が人気に
- 1999年：『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が世界的大ヒットし、ホラー分野でブームに
- 2000年代後半：『パラノーマル・アクティビティ』や『REC』など、POV（主観カメラ）作品が増加
3. モキュメンタリー映画の主な特徴
(1) ドキュメンタリー風の映像構成
- インタビュー形式
- ニュース映像や監視カメラ風
- 見切れや手ブレをあえて残す
(2) アドリブや即興演技
- 役者に大まかな筋書きだけを伝え、リアルな会話を演出
- 不自然な演技を避け、観客に「これは本物？」と思わせる
(3) 現実と虚構の境界を曖昧にする
- 冒頭に「この映像は実際の記録です」などのテロップ
- 架空の事件や人物を、現実のニュースや場所と組み合わせる
4. 代表的なモキュメンタリー映画
国内作品
- 『ノロイ』（2005年、白石晃士監督）…都市伝説と怪異を追う映像作家の記録
- 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ！』シリーズ（2012年～）
海外作品
- 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』（1999年）
- 『パラノーマル・アクティビティ』（2007年）
- 『REC』（2007年、スペイン）
5. モキュメンタリー映画の魅力
- 臨場感の高さ
まるで自分が現場にいるかのような没入感が味わえる - 低予算でも高い効果
簡易的な撮影でも、アイデア次第で観客を引き込める - 後を引く恐怖や余韻
「あれは本当にあったのかもしれない」という感覚が残る
6. モキュメンタリーを見るときの注意点
- 中には「フェイクニュース」と混同される可能性もあるため、作品と現実の区別を意識する
- 手ブレ映像が多く、酔いやすい人は注意
まとめ
モキュメンタリー映画は、リアルな映像表現で観客を引き込み、現実と虚構の境界を揺さぶる独特の魅力を持った映画ジャンルです。
ホラーからコメディまで幅広く展開されており、映画ファンなら一度は体験しておきたい作品群といえるでしょう。
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